テニス関連メモ

テニスの王子様に関するまとめメモ

立海後編に向けて綴った手紙



‪本日の宮城で後編初めて見てきます‬


‪それにあたり厄落とし的に現役の不二キャストである皆木さんへ送った手紙を公開‬

不二周助は難しい


‪送った時期は後編が始まる前でした‬

‪見える範囲であまり不二の感想がこなくて怖いけど楽しみ‬


















 こんにちは。初めて皆木さんにお手紙を書きます。ミュージカルテニスの王子様全国大会立海前編公演お疲れ様でした。横浜アリーナでの運動会もお疲れ様でした。前編の千秋楽から短い期間で、すぐに運動会という過密なスケジュールをこなされたかと思いますが体調を崩されたりしていませんか。どうかお体には気をつけてください。



 今回ミュージカルテニスの王子様の話がしたくてお手紙を書きました。会場でのアンケートという媒体以外で、現役のキャストの方にお手紙を書くのは初めてです。9月29日に前編の千秋楽が無事に終わり、皆木さんが演じられる不二周助の試合としての出番は終わったのかと思います。本当にお疲れ様でした。


 試合が無く幕前のソロがあった氷帝戦、開演初っ端の試合で敗戦を演じる四天宝寺戦、背水の状態から勝利する立海戦s2と、全国大会を戦う不二周助は常に人の目を集める役どころのように思います。まだ後編はありますが、ここまで3演目1年以上不二周助を演じてこられていかがでしたか。どんな風に不二周助を演じましたか。舞台上で不二周助とピントが合う瞬間はありましたか。不二周助は皆木さんに何を伝えてきましたか。


 意地悪な質問がしたいわけではなく、率直にどう感じていらっしゃるのか聞いてみたくて書きました。質問に挙げたような事を考えたりはしない、不二とピントが合うかなんて知らない、という答えもあるかと思います。架空のキャラクターでしかない不二が、何を伝えるもあったものではないと思われるかもしれません。

 ミュージカルテニスの王子様のファンが求める不二周助はとても抽象的で言葉にしにくく、演じるのは本当にやりにくいキャラクターなのかなと思います。不二周助とは、ミュージカルテニスの王子様に足を運ぶファンの殆どが一度は好きになったり、青学の中だったら一番好きと言われたりする、広い範囲から人気のあるキャラクターのように思います。先日の原作の人気投票でも1位になりました。その分、各個人が好きだと思う不二には差があり、スリルを求める不二が好きだった人からしたら闘争心をむき出しにする全国以降の不二は好きではない人も居るのかも知れません。それぞれが求める不二は異なっていて、潜在的なファンを含めた不二を支持する人の総数がとても多い故に、全ての人にドンピシャな不二を体現するのは不可能のように感じます。不二を好きなファンの間ですら、不二の輪郭は不確かで、今までに不二を演じてきた人たちですら不二を掌握した人は誰も居ないように思います。




 ミュージカルテニスの王子様は、ミュージカルと冠してはいるものの、観客の視点や評価の目線は、歌唱やダンスだけではなく、キャラクター性という正解のない項目にも向けられていると思います。皆木さんご自身は不二周助をどんな人だと思いましたか。不二周助に対する思いはどんなものがありますか。その思いが変化するときはありましたか。オーディションに受かったとき、舞台に立って試合をしたとき、喜びはありましたか、プレッシャーを感じましたか。ご自身が不二周助を演じた後、紙面上にいる原作の不二周助は恐ろしく見えましたか、それとも頼もしく見えましたか。


 こうした曖昧な質問や要望を散々浴びせられた1年半だったりしましたか。


 皆木さんがミュージカルテニスの王子様の事を嫌いになっていないか凄く心配しています。勝手な事を言うばかりのテニミュのファンが疎ましくなってはいませんか。勝ち取った筈の不二周助という役柄が枷になったりしてはいませんか。






 私自身は氷帝学園のファンで、皆木さんの熱烈なファンではありません。不二周助のファンでもありません。また、正直にお伝えするなら全国氷帝戦での不二周助の記憶はほとんどありません。ヘビーレインの振り付けがあまりにダサい事、あの時点で不二周助に歌わせるならジャージではなくユニフォームで歌わせてやるべきだと運営には意見を散々書きましたが、不二周助として皆木さんがどう演じられていたのかの記憶は曖昧です。ただ続く四天宝寺立海戦よりも不二周助の周りの空気は軽く、少なくとも見ていて息苦しさは感じなかったような気がします。

 全国氷帝戦の客層は氷帝ファンが多いものです。全国氷帝で寄せられた意見の多くは、全国氷帝という演目に向けてだったのかもしれません。氷帝ファンから見た3rd全氷は、手放しに良いものだったと賞賛できるものではまるで無く、いち氷帝ファンの私からしたら、主役校である青学、ひいては不二周助に対して意識を割く気持ちの余裕がありませんでした。


 そんな氷帝戦に続く四天宝寺ではS3で白石と試合があり、もしかしたらそこで氷帝公演を超える意見が皆木さんに届いたのかもしれません。四天S3は不二ファンの目線だけではなく白石ファンの厳しい目線も受ける事になります。四天はテニスの王子様の物語の後編からしか出ませんので、人によっては5年ほど待ち望んだ白石蔵ノ介です。

 待望で受け入れられる四天宝寺、そしてそれに続くのが帰還した立海と、熱狂の敵校が続き、相応の人気キャラクターと戦わなくてはならなないものです。その分、率直な意見や要望が皆木さんのお手元に届いたのでしょうか。


 私は四天宝寺公演も立海公演もそこまで回数を重ねたわけではないので、一概には言えませんし、あくまで私が観た範囲に限りますが、皆木さんが伸び伸びと試合をしていた日はとても少なかったように見えました。一つ一つのファンの声や周りの声を聞いてそれに振り回され、どうにか応えようとしているようにも見えました。そうした奮闘や足掻いているようなお姿から、皆木さんご自身がとても感受性が豊かな方なんじゃないかなぁとも思いました。




 どうして四天が勝てないのか、どうして仁王が負けるのか、そうしたファンの声は雑音です。青学だけが勝ち進んでいく中でライバル校のファン達はそうした引っ掛かりで、どうにか納得しようと落としどころを探します。でもそれは勝ち進んでいく不二周助には関係のない事です。全国で青学は勝つしかないし、決勝戦不二周助は勝つしかありません。そこを疑問視するのは敗者の戯言で、勝者が省みる必要はありません。

 勝ったのは僕だという顔をして切原を真田を幸村を見ればいいと思います。手塚が7人いると言われた立海を2人負かし、真剣勝負をせずに足を潰した真田が死に物狂いで獲った白星をカウンターという自分の土俵であっさりと獲り返してみせ、不二ありきでオーダーを組んで絶対に勝てない相手を用意したと宣ったくせにお前は読み逃したと幸村を笑ってやったって良いはずです。


 ファンの声も演出家の声も同じ役をやった先人の声も対戦相手の声もチームメイトの声だって、聞かなくて構わない。不二周助でいる限り、皆木さんはそれら全てが許される立場にあるとすら思います。それは話し合いや相互コミュニケーションをしなくてよいという意味ではなく、それらをしっかり行った上で、出た意見全てを無視するという選択肢が不二周助にはあるということです。





 私は先程書いたように氷帝学園のファンで、もっと言うなら跡部景吾のファンです。皆木さんがテニミュに出ていなければこのようにお手紙を書くこともありませんでした。皆木さんが不二でなかったのなら、私は皆木さんを知らないまま過ごしたと思います。全国大会立海前編が終わり、ミュージカルテニスの王子様の中で自分の出番が終わったという思いがありますか。


 青学のキャストは現行の青学としてミュージカルテニスの王子様に出ている間は殆ど他の仕事や舞台には出演しませんね。一度ミュージカルテニスの王子様から離れ、もう一度対戦相手として戻って来る、もしくは運動会やドリライで戻って来る他校キャストたちは、離脱の間にそれぞれ別の仕事をします。

 今まで、テニミュというある種、一律の扱いと認識をされていた立場から、それぞれ仕事があるか無いか売れたか売れないか客が集められるか集められないか評価される環境に変わります。青学キャストはテニミュを卒業してからでないと、それを体感する機会は少ないのかもしれません。歓声があるとかブロマイドが売れたとかランダムのレートが高い低いといった、テニミュという狭い井戸の中で行われる比較ではなく、人生と生活に直結していく評価が今後はされていきます。皆木さんはテニミュがデビューではありませんから、こうしたお仕事に関する知識はすでにお持ちかと思います。

 しかし、テニミュという括りに所属し、つい2ヶ月前までは同じ経歴だった同輩たちと、これから先様々な部分に差がついていくことはとてもシビアなことです。



 恐らく今後テニミュで受けた以上の意見や批判や激励を、受ける機会は無いのではないかと思います。テニミュを離れれば、この手紙のようなファン以外からの声や要望、皆木さんを取り巻く雑音は減っていき、皆木さんのことが好きで追いかけている方の言葉や意見が多く届く環境になります。現状のような皆木さんのファン以外の目にこれだけ晒される状態は稀です。本来ファン以外は皆木さんの事を見ません。

 しかし今に限っては、学校のファン、テニスの王子様のファン、テニミュのファン、不二周助のファン、そうした多くの人が現役のキャストである皆木さんを見ます。


 卒業して行くキャストを追う人は、テニミュへ通う人の総数から考えたら決して多くはありません。テニミュを見ている私たち観客のほとんどは、皆木さんの事を不二周助としてしか知らないまま、皆木さんを見るのをやめます。それは皆木さんに限った事ではなく、ほとんどのテニミュキャストに共通する事です。あの代では誰が一番売れた、同じ代でもこの人は今何をやってるのか仕事があるのか知らない。テニプリパーティーの一言コメント欄を見ながら、テニスの王子様のファンの間でそうした会話をしたのは私の記憶に新しいです。


 3rd幕引きまでと思えば、私が皆木さんを見るのもあと半年と少しほどしかないのかもしれません。ただ卒業後も役者としての仕事を続けて欲しいと思いますし、できるなら何をしているのか耳に入ってくる卒業キャストになってほしいと思っています。

 



 また12月からは全国大会立海後編公演が始まります。後編の核である越前リョーマ幸村精市のS1を経て、青学の優勝でミュージカルテニスの王子様の物語は終わります。


 不二周助はどうして記憶喪失の越前の元に駆けつけなかったんでしょうか。S3で負傷しながら死闘を演じた真田はライバルズとしてコートへ行きました。かつて紅白戦をして雨の中で打ち合い勝負がつかないまま、手塚不在時のS1の座を奪われた不二は、どうして越前の為にコートに行かなかったと思いますか。どこのコートだか知っていますか。越前が記憶を取り戻す為に桃城を筆頭に打ち合いをしたコートが、全国大会会場のどこのコートだったか知っていますか。

 こんな事は本編には関係のないどうでもいい小さな事ですが、こういう小さい事を繋げていった先で何かが差を生むかもしれないと、テニミュを見ている身からしたら期待します。

 ぜひ調べてみるか、どなたか知ってそうな方に聞いてみてください。それが分かったからといって、すぐに何かが変化するわけでないと思います。ですが、越前が踏んだコートの砂、真田と跡部が並んで歩いたコートまでの道のり、そうした情景に少し色がつく感覚を知って頂ければ嬉しいです。


 不二がそのコートに行かない理由は、S2の試合が終わったばかりだからというだけでしょうか。青学を優勝に導きたいはずの不二周助は、ゴールデンペアの試合を眺めて、幸村と金太郎の勝負を眺めて、何に想いを馳せたと思いますか。コートの横でどんな風を感じていたと思いますか。


 前編から後編の間に3ヶ月ほど期間が空きますね。ですが、後編の幕が開いて幸村と越前の試合を見る不二は、つい数十分前に試合を終えたばかりだということを見失わないで下さい。腕が紫色に腫れ上がっている手塚に、この大会が終わったらと勝負の約束をしていた事を忘れないで下さい。青学の優勝と、手塚との再戦と、越前の記憶と、幸村の動向と、自らの勝利の余韻と、何が不二周助の心を占めていたと思いますか。



 一足先にS2の試合を終えたことで、不二の出番が終わったという気持ちが少しでもあれば、それは捨ててください。皆木さんが思う不二周助の心の中を作りこんだ上で、ベンチに座って横顔一つ、足の組み方一つで演技をしてください。ライトが当たっていなくても、歌がなくても、動きがなくても、会場のファンの目は不二周助を見ます。重ねての言葉になりますが、それほどの数の目に見られることは本当に貴重なことです。ここで経験を積んでください。限界のラインを引かないで下さい。前編で試合をした事でやりきったと満足しないでください。

 



 3ヶ月にまたがる60回近いロングラン公演で、30人規模の座組の中で4人目にクレジットされるキャラクターで、2000人規模の劇場が連日埋まる演目を、今後の人生でいったいどれだけやりますか。

 



 いくら2.5次元舞台と呼ばれるものが溢れようと、テニミュでしか味わう事のできない辛さや経験があると思います。それをご自身の糧にして舞台上で発奮してください。バウで挨拶するとき、もっともっと前に出てやってください。越前リョーマ幸村精市遠山金太郎跡部景吾も白石蔵ノ介も食ってしまって構わないんです。不二周助は傲慢です。皆木さんの不二は理性的で、どこか危うさに対して踏みとどまるように見えました。皆木さんご本人のご気性が表れての事なのかどうか分かりません。ただあなたはあの場で不二周助ですし、全世界で今、不二周助を名乗れるのは皆木さんと甲斐田ゆきさんの他にはいません。




 私は皆木さんがやろうとしていた不二周助は好きでしたし、もっと見たかったと思います。全国氷帝でももっと皆木さんを見ていれば良かったと思いました。

 だから今の時期に手紙を出しました。全国立海後編で不二周助をどう完結させるのか、考えた答えを舞台の上で見せていただけたら本当に嬉しいです。東京公演初日に間に合わせてください。凱旋公演に向けて帳尻を合わせるようでは、目指すものにも到達点にも差が出ます。

 全国大会決勝戦テニスの王子様が完結した最終回の物語です。全42巻、連載期間9年の最終回です。その最終回は58回ありません。凱旋の大千秋楽が最後ではありません。初日の幕が開いて幕が閉じるまでの間に皆木さんが思う不二周助を完結させてください。




 劇場の板の上でそれが見れる日をとても楽しみにしています。

 


ミュージカルテニスの王子様 不二周助役 皆木一舞様へ



期待と敬意を込めて。